ホメテヤラネバ

見たもの聞いたものを褒めるブログ

自称できるのが一番スーパー

古戦場中はアルバム漁りがはかどる。

周回とか一瞬で飽きるし、やっぱり耳が寂しいし。肉集めだけでも、それなりにポチる必要があるからね。こないだあったCP限定クエストくらいまで単純だったら、簡単な映画でも観るか、ってなるんだけど。

 

そういう意味では、グラブルやってる間が一番音楽に集中しているのかもしれない。

音楽センスがズバ抜けてる人だったらまた違うんだろうけど、特にそういうんじゃないし。

っていう空虚を感じだした心に、『SUPER MUSIC』がズズイーっと入り込んできたって話をしようと思うんですよ。

 

 

いきなり白状すると、これ聞いて最初の十分くらいは取るに足らない作品だと思ってたんだよ。マジで。ジャケットにきれーなねーちゃんがいるだけだなって。

なんていうんだろう……生身のボーカルがなぜかあえてVOCALOIDのマネをしているかのような、今まで感じたことのない違和感がすごく強かった。

でもなんか、取るに足らないはずなのに聴くのやめようとは思わなかった。だから、うまく言語化できないだけで、その地点でもう惹かれるものを感じてたんじゃないかなあ。

 

さておき。このアルバムに対する気持ちは、四曲目を迎えたときに、自覚できるくらいガラっと変わってきた。

曲名、『皇居ランナー』。

最初は悪い冗談かと思ったけど、今となっては冗談かと疑った地点で“敗北”していたんだなって断言できる。完全に取り込まれてたよね。

 

まずスゴイのは皇居ランナーっていう文言そのものだよ。人間の脳はコウキョランナーという音声を皇居ランナーと即座に日本語化するように作られてない。歌詞の中でサラっと皇居ランナーって言われても意味を持った言語として認知することは不可能だ。

現役の皇居ランナーやその周囲の人なら別かもしれないけど、こっちとしては皇居ランナーに対してなんら思い入れはない。ていうか別にこの曲自体、皇居ランナーについてろくすっぽ言及してない。いいじゃん、普通にトラック走ってるランナーの歌でも。なんで皇居ランナーなんだ。聴き終わって、ツッコまざるを得なかった。

 

けど問題はそこじゃなかった。

ツッコもうと、じっと耳を澄ませてるってことはもう完全にこの曲に惹かれてるってことだった。つまり“敗北”だ。とはいえツッコミなんて無粋なことしているうちは、まだ自分が“敗北”したことにも気づいていなかったんだけどね。

『皇居ランナー』のあとも、まったく秘密を明かしてくれない『スープのひみつ』とか、自ら職務質問されにいく『婦警さんとミニパト』とかが続く。さらに「おっきい隕石で途方にクレーター」とか言い出すんだからもういいやってなる。考えるのをやめてただ楽しくなっちゃう。完全に武装解除

 

丸腰になってもう一周聴いてみると、はじめは響いてこなかった最初の三曲もめちゃくちゃ輝いてくる。音作りも韻の踏み方も心地いいし、違和感しかなかったはずのボーカルも、実は曲全体にこれ以上ないくらいマッチしていることに気づかされたりする。ごく一般的な先入観で、ボーカルをフロントマンだと思い込んでいたからズレていただけだったんだ。

一体だれが、バンドの中心はボーカルだなんて決めたんだ。いや、決まってなどいない。ボーカルが一歩引いたことで、楽曲のあらゆるものがハジけてる! そしてハジけを浮き彫りにしてるのは、特徴に乏しい声質によるものだったんだ。そう確信したときには、もう十周くらいしてたと思う。完全にとりこになってた。

 

あまりにもスーパーミュージック。

名前負けしてないのもすげえし、これを自前の作品に名付けるのもすげえ。

誰がやったんだ? と思って調べたら真部脩一と西浦謙助だったのかあ~~どおりでな~~~~~~! いつの間にかこんないいバンド組んでたんだね。前のアルバムも聴いてみよう。

 

……って聞き惚れてるうちに個ラン下がってきてるな。古戦場からは逃げられない……。

そうかおれはドMだったのか

最初に放映されたあたりから今まで、ずっと筋肉体操を続けてるんだよ。

 


【みんなで筋肉体操】腕立て伏せ2/Push-ups ~続・厚い胸板をつくる~

 

続けてるって言っても、二日に一回一周してるだけだから、一週間で合計しても一時間になるかどうかって程度ね。文字通り「体操」って感じだ。

それでも数か月間、五分×四回を済ませただけでもかなり疲労を感じてた。続けてるうちに体幹も心なしかがっしりしてきた。ほんとに「心なし」止まりだから、目に見える変化は無いに等しかったけど。

 

それでも最近はちょっと、負荷が軽いなって感じだしてた。初回放送から半年以上、負荷がキツくなった2からも三か月以上経ってるわけだから、そりゃそうだ、ってなもんなんだけど。

べつにゴリゴリになりたいわけでもないからいいかな~このままエクササイズしとけばいいか~~くらいにしか思ってなかったんだよね。

 

そしたら先週、音楽聴き放題サービスのニューリリースんとこに見つけてしまった。

般若の『IRON SPIRIT』。

 

 

人並みではあるけどフリースタイルダンジョンはそれなりに観てたし、般若個人名義のアルバムも何枚か聴いてたから、自然に再生してた。ラスボスは“格”がちげーなって、小学生並みの感想ではあるけど思ってたしね。

 

そしたらなんか言ってくるんだよ。

おまえはドMだって。

 

いや確かに般若はカッケエし、力もあるだろうさ。けどいきなりドM扱いされるいわれはねえ。いきなし決めつけんのはよせやいと思ったんだよ。

 

けど何周か聴いてるうちに、自分の中になんとも言えない感情が湧いてきたわけ。

つまりさ、なんていうかほら。

 

 

おれ……ドMなんじゃないかなって。

 

 

なんていうか前提として、一曲一曲に何周も聴かせるほどの魅力が詰まってたってことの表れでもあるんだよ。

そもそもこのアルバムは筋トレをコンセプトに作られたアルバムなんだけど、コンセプトを捉えるどころか枠越えて場外ホームランなんだよね。けなしたり、励ましたり、下心くすぐったり、あらゆる言葉が力強い。

何気なく書いたけど、筋トレ用BGMのハズなのに下心を刺激するってすごくない? そりゃ男で筋トレするやつの何割かはモテるためにやってるんだろうけどさ。下心を、ラップの中で筋トレのモチベーション上げるために使うってのは発明なんじゃねえのって思う。日本で般若でしか成し得ない気がするんだけど、どうだろう。そりゃ心(下心含む)に響く音楽ってのは今までなんぼでもあっただろうけど、同時に身体に鞭打つ音楽ってどんだけあったよ?

あとそう。アルバムを通して、筋トレに留まらず「弱い自分を超える」ことにシフトしていくのもまたいい。心と身体の両面から鍛えるスパルタだよ。

去年、(それこそ『DEVILMAN crybaby』に般若を出演させていた)湯浅政明が、なんかのインタビューで「現代のラッパーは吟遊詩人で、世情を歌い上げる役割をもってる」的な話をしてたけど(うろおぼえ)。現代を乗り切るための“力”を与えようとさえしている感じまでするね。

 

だから多分その力に私は組み伏されて、その上で調教されてしまったんじゃないかな。

お前はドM、お前はドドMって。

私は般若の筋肉で堕とされてしまいました。

にしてもドを繰り返すのはジョジョだけかと思ってたよ。

 

 

結果として先週から、いままで1セットだけだった筋肉体操を2セットするようになった。ドMだからね。

筋肉のメカニズム的に毎日やらない方がいいらしいから、二日に一回なのは変わらないけど。

様子を見つつ、段階的にもっとセット増やしてもいいかなって思えるようにもなってきた。ドMだからね。

ついでにプロテインも買っちゃったよ。高校生以来。低脂肪乳をさらに単純化したような味するけど飲むよ。ドMだからね。

 

 

そうそう、話は変わるけど。

昨日からグラブルで『決戦! 星の古戦場」が始まっててさ。死んだ眼をしながら肉集めてると、ただ単純にしんどいんだよね。延々と定点クリックを続けて、同じ敵を何百体と倒してさ。だんだん何をやってるのかわからなくなる。私はこのゲームを好きでやっているのか。時折虚無感が襲ってくる。日中の貴重な休み時間に、何より苦痛な単純作業に自ら飛び込んでいる。黄龍石や琴五つ、最終シエテを持っている騎空士をただただ恨めしく思いながら、メカニック2ポチとキュベレー2T討伐を繰り返してる……。

 

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あれ……?

グラブルなんてやってるんだから、元々ドMだったんじゃ……?

2019春アニメ 出だし

昨日書くつもりでいたもの。

 

言いたいことは昨日言った 

 

  • さらざんまい

一話だけで……いや正直、開始三分だけで“圧倒”されたね。日本のアニメでしかできないことをコテコテに盛り合わせてる、それだけで私は評価したい。

まったく前情報皆無で観たんだけど、数十秒で「あ、さてはオメー幾原邦彦(54)だな?」ってなる視覚効果には脱帽だ。見せたいものをドカーンと持ってきて、しかもそれを毎週放映の地上波アニメでやって見せるとかなんなんだよ。おっかねえよ。生粋の表現者だよね。老いてなお進歩してやがる。

 

ストーリーはなんぼでも考察できるタイプ。

なぜ舞台が浅草で、カッパが中心的なモチーフで、秘密や欲望ってものがテーマに据えられたのか。間違いなく、それぞれに意味がこめられてるんだろう。タイトルもそうか。さら=晒、つまり晒三昧なのかな、とか。

それらを解釈していく楽しみもあるだろうし、きっともう考察班とかできてるよね。謎解きコミュニティが自然発生して、いろんな人がそこに混ざっていけるのは、こういう作品の強みだよなあ。

私は自分の解釈を持ちたいし、少なくとも完結するまでは他人の考察は見ないようにするつもりだけど。

 

このアニメは確実に最後まで追っかけるよ。

気がかりなのは、キービジュアルに女の子がいないこと。RobiHachiもそうだけど、今の時代に美少女抜きでかつ腐女子向けでもない作品って、商業的に成功できるのかな。ピンドラでさえ、陽毬と苹果がいなかったら視聴続けなかったって人がいると思うんだけど。

いやあるいはこれも、「美少女なんて本当はTVの中くらいにしか存在しないだろ」という構造上のメタファーだったりして……なんてね。

 

 

  • RobiHachi

 偏差値が20下がった『ブレードランナー』みたいな街並みだけで、ちょっと楽しくなってきちゃったよ。思いっきり躁にハンドル切ってる感じがいい感触だ。ロビー・ヤージにハッチ・キタにハッコーネ……。言ってるだけで楽しくなってくるでしょこんなの。パッショーネとハッコーネで韻が踏める。

 

二話のアホっぽさになんかこう安心感覚えたから、もうしばらく見続けようかなって思えたんだけど、だからこそだいぶ損してるよね、これ。

実際はそんなことないのに、キービジュアルはちょっと腐向けっぽいし。二話のドタバタ感が持ち味になりそうだからこそ、勧めるなら「二話まで観て」って言わざるを得ないし。そこがどうももったいない印象ある。

もしかしたら、ベースにした弥次喜多道中をリスペクトした結果なのかもしれないけどさ。Twitterの公式アカウントのフォロワー数を見てると、思うところはある。もうちょっと期待されてもよさそうなもんだ。

 

こういうアホに努力値全振りみたいな作品って、パシリムみたいに監督の手腕ひとつで良くも悪くもなるイメージあるけど。高松信司なら安心してよさそうだ。信じを信司ろ。銀魂はもちろんだし、私はガンダムXだって好きだぞ。

 

 

  • Fairy gone フェアリーゴーン

ダークファンタジー……なのかな?

妖精のデザインは文句ない。影のある未確認生命ってだけで、引き込まれる人は引き込まれちゃうよね。元は空飛ぶキラキラクリオネなのにさ。あと背景も凝ってる。

3、4話でなんか爆弾があると、一気に覇権レース首位に出てきそうな雰囲気はある。このままの雰囲気で行くのかな。もう少し様子見。

 

あと主要キャラの苗字がアンダーバーなのはどうしても笑ってしまう。呼ばれるたびにちょっとクスっとくる。フリー_。

 

 

お噂はかねがね……みたいなゲームだよね、原作。Serial experiments lainともども、「いつかプレイしてみたいなあ」と思ってた。そしたらいつの間にかアニメになってるんだもんなあ。

二話まで観た感じだとこう、初めてBTTFのpart 1やエピソード4を観たときの気持ちを思い出す。ああ、これが王道の道標になったんだな、的なやつ。

 

このアニメの主眼はどこにあるんだろう? すでに売っているゲームの販促なのか、古参ファンへの訴求か、アニメだけでの完結性を重視しているのか。今んところはどれとも取れないよね。どれになるにせよ、一定の人気は得られそうな感じ。

関係ないけどlainアーカイブスって出ないもんですかね。

 

 

  • キャロル&チューズデイ

まだ観てないけどすげー気になってる。配信がNetflixだけってのがなんともね。

 

 

特にオチも思いつかないのでこのへんで。

「動くマンガ」超えてくよね

2019春アニメの話をするつもりだったんだけど、想定の三倍以上鬼滅の刃の感想が出てきてしまった。他のはまた後に回すことにする。

 

  • 一話

この漫画ね、原作は3巻か4巻からずっと追ってる。

放送前にキービジュアル見たとき、キャラが全体的に幼く見えて「ん?」となったから観ないつもりでいた。これは原作活かせてなさそうだな、って。

 

でもいざ放送が始まったらやたら評判が良かったもんだから、疑いながら観てみた。めちゃくちゃ良かった。ちょっとボールドせざるを得ない。予想の遥か上空だったよね、完全に。

 

話の展開なんか二年くらい前から知ってるわけだし、これほぼ劇伴と花江夏樹の力だよなあ。

もちろん作画も安定しててスゲエし、着物の柄とかテキトーにパターン貼っつけて終わりじゃねのエラいし、OPで見えた呼吸の演出なんかワクワク止まらねえんだけどさ。こと一話本編のヤバさを際立ててるのは音楽と声優だと思う。

元が少年誌だしアニメも地上波で放映するしで明るさもバイオレンスさも一線を越えにくい中で、それでも悲劇らしさを感じさせてるわけだから。視覚以外の圧が尋常じゃねえってことじゃねえかな。

 

でもって、悲劇っぽさを十分出してからの禰豆子が炭治郎をかばうカットね。たぶん原作だと普通に読み通してたと思うんだけど、アニメ版はちょっとじーんと来た。ここに至るまでに炭治郎の必死さ、やるせなさを丁寧に描いてたからこそだよね。一筋の光明ってものをググっと示してきてるの、もう満点じゃないですか。うっかり敬体になっちゃった。外崎春雄、あんたすげーよ。

 

 ……ここまでで投稿しようと思ったら、AbemaTVで二話観れることに気づいた。神か。

 

  • 二話

今度は思いっきりヴィジュアルと構成の勝利になったね。チームでいいアニメ作ろうっていう熱意が伝わってくる感じがする。素敵なことだ。

 

一話は炭治郎と禰豆子、あと冨岡義勇らの人間性にフォーカスを当てて、禰豆子がかばうカットを頂点としながら肉付けしていった印象だった。炭治郎の家の周りだけで話が終わるから、ごく自然な判断だよね。義勇のセリフとかぶっちゃけちょっと長いし、削ろうと思えば削れたと思う。けどあえてそのまま持ってきたことで、彼なりの優しさ(というべきか、不器用さというべきか)がだいぶわかりやすくなってた。ホラーやサスペンスの皮をかぶったヒューマンドラマみたいな感じというべきなのかな。もしかすると、レトロな人情劇も意識してるのかもしれない。そっちは詳しくないけど。

 

対して二話は多分コンセプトからして違うよね。一話で余らせ気味だったものを補完しつつ、映像としてのテンポで引き込んでる。テンポを上げれば場所を動かすこともできるし、いっそう画が映えていく。人物描写は控えめに、バリバリに炭治郎が動くんだよね。こっから少年ジャンプ、ufotableの本領発揮ですわ的な。うちアクションも美味いんでご一緒にいかがですか的な。

 

アクションを効果的にするための構成もさすがだよね。鬼が出るまでの間を作るのにお堂の前に階段置いてみたり、連載のときの区切りを無視して炭治郎が崖から落ちるところでCM挟んだり。クライマックスに当てた試練の部分も、原作だとだいぶすぐ終わっちゃうのに、よくぞああやって魅せ場にしようと思ったもんだよ。竹にビシバシ打たれるとことか、1コマで終わってるのにさ!

 

表現の幅を感じられていいよなあ。

気になることといえば、緑川をあんなに安売りしてよかったのかなってことぐらいかな。

 

 

  •  この調子でやって

  こんなもの見せられたらもう、どんどんこの調子で続けていってくれとしか言えないよね。文句のつけようがない完璧な改変してくれたもん。会社の脱税だなんだって言われてるけど、なんとか頑張って欲しい。

 

 

余談。

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私が鬼滅に「ホンモノ」を見て感動したシーン。

あ、この作者は鬼をちゃんと鬼にしてくれるんだな……と思ったんだよね。

世の中にたくさんいるバケモノの一種として十把一絡げにするんじゃなくて、日本で語り継がれてきた「人間から変化する悲しい存在」として扱ってる。

たまんえねよ。

現代では表面的に、ただのモンスターとして扱われるばかりだったのにさ。鬼はいまジャンプで生きてるんだなあーって、ぐっときたもんだ。

 

このシーンは5巻のことだから、さすがに今期は観れない気がするけど。

でも、いつか映像で観たいな。

性癖歪ませロボ

最初に何を褒めようか? そんなに悩まなかった。アレックス・ガーランドの『エクス・マキナ』だ。

これ。

この映画はもっと評価されていい。正確には、相当オタク受けすると確信してるんだ。けどそういう話は今まで聞いたことがない。それなりに映画を好きな人の中で、「評価が分かれる作品」に留まっちゃってるのが、なんとももどかしい。

私は大好きなんだよ、これが!
となると初っ端からアピールするしかないよ。

 

  • めちゃかわヴィキャンデル

エクス・マキナ』の何がいいって、まずヒロインがめっちゃ綺麗なのよ。
いやわかってる。そんだけなら特別でもなんでもない。世の中綺麗な女優なんていくらでもいるからね。けど違うんだよ。だいぶハードなSFなのに、若い男にとって理想的なヒロインてな感じで出てくる。そこがスゴい。

元々SFって、SFのSの部分を売り出そうって作品が多いと思う。サイエンスなフィクションなんだからサイエンスが頭にきてなんぼみたいなことね。この作品のサイエンスはこういうことできるよ! どう? 新しいでしょ? 面白いでしょ? みたいなね。
その傾向が強いと、サイエンスはメインディッシュになってくる。でキャラクターの方は前菜になったり、付け合わせになったりしてくる。サイエンスを際立たせるために、人間の味を薄めてバランスを取ろうってわけだ。もちろんあらゆるSFのキャラクターたちが薄味とは言わないけど、どうしたって(ヒューマン)ドラマに比べたら、相対的に主張が控えめになってきちゃう。なってきちゃうというか、あえてそうしてる物も少なくないと思う。


エクス・マキナ』はそこをブチ破ってくるんだ。
しっかりSFしながら、ヒロインの美しさもめちゃくちゃ際立ってる。
しかも単に顔がいいとかじゃ済まなくて、思いっきり主人公に迫ってくるんだよ!

……って言うと「でもヒロインって、パッケージのロボットでしょ」って思われるよね。「ロボットにときめくとか性癖歪みすぎで草」、その通りだよ。

だからスゴいわけ。
つまりこの映画、性癖歪めてくる。

すでに歪められた私としては、もっと多くの人に歪めてもらいたいんだよね。顔がいいロボットから、デート用のおめかし披露されたりしてみ一回。破壊力ハンパねえから。

そういうわけで、騙されたと思って騙されて欲しい。特に二十歳以上の男性。十代の性癖歪めるのはさすがに忍びない。そもそもR指定だし。

 

 

  • ナマモノだからうまい

うっかり興奮しちゃった。話をちょっと戻して、この映画のサイエンス部分にも触っておこうと思う。
エクス・マキナ』の時代設定は、今よりちょっとだけ未来ってことになってる。具体的にいつってことはないけど、ほんのちょっと。ほとんど現在って言ってもいいくらいじゃないかな。そこで生まれたAI、つまりパッケージのロボットが、この映画のサイエンスの象徴になってる。

AIってのはもちろん、今も色々言われてるAI。人工知能。何十年か経ったときにどうなってるか、って話は、もう十分広まってると思う。と言っても話題が広まっただけで、実際に未来がどうなってるかなんて誰にもわからないけども。

エクス・マキナ』って、ガーランド監督なりにそのAIが行きつく未来を示した作品でもあるんだよね。単なる性癖歪ませムービーじゃないわけ。SFとして、「AIがこういう風になるかもよ」っていうのを提示してもいる。だから社会的でもあるし、現実味も感じさせる。そこがスゴい。SFと現実味って基本相容れなそうだけど、時間軸をかなり今に寄せることでうまくミックスしにきてる。たくみに。

ただ、そのことがこの映画に賞味期限を作っちゃってもいる。ここで言う現実味って「ちょうど今」の問題を取り上げていることに由来してるわけだけど、「ちょうど今」が過ぎ去っちゃったらもうアウトになっちゃう。AIはたぶん私なんかが関わらなくてもどんどん進歩していって、何年か後に行きつくところに行きつく。そうなったときにはたぶん、『エクス・マキナ』はただのハズれた予想になってる。

ハズれた過去の予想に、現実味は覚えないと思う。いつになるかわからないけど、ハズれが確定したときがこの映画の賞味期限になる。そしてそれは、そんなに先のことじゃなさそうだ。映画としては相当期限が短い方だと思う。さすがに当てられはしないだろうし。

だから『エクス・マキナ』はナマモノの映画だよ。でもナマモノってうまいよね。

 

 

  • 観ろ

うん、褒めたい部分は褒めた。あとは観てもらうだけだ。
どうにも好きになれないって人もいるのはわかってるけど、ずぶずぶにハマる人がもっと多くなることを願うばかりだ。

ちなみに、この映画の包丁はめっちゃUSB端子みたいに刺さるから必見。

あいさつとポリシー

はじめまして。こちらは、私石田ライガが見たもの・聞いたものを褒めていくブログです。主に映画やらアニメやら音楽やらのレビューをする予定です。

だめだ敬体はダルい。

 

せっかくやるんだから、ただ感想を並べるだけにはしたくないなって思う。抱負あるいはポリシーとして、ここに記していこうと思う。

  • 褒める

まずはこれ。褒めたい。たくさん褒めたい。それが作品に対する敬意の一つだと思うからね。

 

あとは個人的に、「褒める練習」をしていきたいっていうのもある。視点としても言葉としても、数をこなしていけば褒め上手になっていけるかもしれないし。できればそういう大人になっていきたい。

 

  • けなさない

上記の裏返し。悪し様に言うのが愛だなんて考えは、もう時代遅れでしょ。敬意でもない。けなし上手な大人になりたいわけでもない。

たとえ見巧者としては貶めるべきことがあっても、私はそうしたくない。

 

いやもちろん、今後生きてく中で一切合切をけなさない、とは言えないけど。

これまで鑑賞した作品にもアラはあったり、これからも見つけてしまうとは思うけど。

でもこのブログでは言葉にしたくないなあ。

 

  • (できるなら)比べない

これについては正直、貫いていく自信はない。ほとんど実験だ。

そもそも具体的に何かを褒めること自体、他のものと比べて優れている、っていう土台の上にあるとも思う。だとするともう前提から破綻してることにもなっちゃうんだけど。

 

けど比べてしまったら、相対的に何かを否定することになるのは確かだし。できるだけ、そうならないようにしたい。

……まあせいぜい、「悪例を名指ししない」程度に落ち着くような気がしてるけど。

でもやれるならやってみたいんだよね。

 

 

こんなところかな。

ポリシー二つ(と実験一つ)、守っていきたい。